コロナウイルスと次亜塩素酸生成器

新型コロナウイルスの流行のために、ドラッグストア等で消毒用アルコールやオスバンなどの手指消毒ができる薬品が売り切れて手に入らない状態になっています。

そこで、アルコール以外の消毒として次亜塩素酸水がメディアに登場するようになりました。次亜塩素酸は化学式 HClO で強い酸化力が殺菌効果の源です。そのため、分解もしやすく有機物に触れたり紫外線があたったりするとすぐに効果が薄れてしまいます。

そこで、「次亜塩素酸水メーカー」とか「次亜塩素酸生成器」などの商品が登場するわけですが、騙されてはいけません!こんなもので作れるはずがないのです。

Amazonや楽天市場で大人気の右の写真のような装置、こんなものでは絶対に生成できません。

これらの装置は食塩(NaCl)水を電気分解するものです。
2NaCl + 2H2O ⇒ NaOH + Cl2 + H2
こんな感じで、水酸化ナトリウムと水素と塩素ガスに分解します。
この塩素ガスが水酸化ナトリウム水溶液に吸収されて
2NaOH + Cl2 ⇒ NaCl +NaClO + H2O
となります。つまり、完成品は水酸化ナトリウムと、食塩と、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液となります。
必ず、ナトリウムが含まれることになります。

こんなものでいいのなら、洗濯用の塩素系漂白剤、例えば「ハイター」を水で300倍くらいに薄めればOKです。

※まともな生成器はナトリウムを水酸化ナトリウムなどの強アルカリ水として別に排出するなどしています。または、材料に食塩ではなく塩酸を使用します。

まとめ

個人向けの生成器で作れるのは、ナトリウムを含んだ「次亜塩素酸ナトリウム」水溶液で、ハイターと同じ。消毒できなくはないけれども、効果の高い濃度にすると手荒れや衣類の色落ちの原因となるなど、使いどころが限られる。

ウイルス対策で効果が高いのは、ナトリウムを含まない「次亜塩素酸」水溶液。簡単な装置では、ナトリウムを除去できないので家庭での生成は無理。